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ドクター便り

済生会呉病院の医師から皆さんへお便りです。


2019.3.15
テーマ:C型肝炎治療の進歩
伊藤 博之医師(医療部次長)

C型肝炎ウイルスは1989年に発見され抗ウイルス療法として1992年よりインターフェロン注射による治療が行われるようになりましたが、C型肝炎の遺伝子型が1型でウイルス量が多い場合には治療効果が低いという問題がありました。
その後、効果が長く続くペグインターフェロン注射の使用や、内服の抗ウイルス薬の併用ができるようになり1型高ウイルス量に対する治療効果も上がりましたが、インターフェロンを使用するため発熱、全身倦怠感、白血球、血小板減少、うつ病などの副作用を避けることができませんでした。
そのためインターフェロンの副作用の出現が予測され治療が受けられない患者さんが取り残されるという問題がありました。
また、患者さんの遺伝子の差によりインターフェロンの治療効果に差があることなどの問題もありました。そのため、インターフェロンを使用しない治療の登場が待ち望まれていましたが、2014年に抗ウイルス薬を2種類内服するだけで高い治療効果が得られる治療法が登場したことにより、インターフェロンを使用しない治療が可能となりました。
適応となる患者さんは1型のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変(肝臓の働きがある程度保たれている肝硬変)で、内服する期間は24週でした。2015年には1日1錠を12週内服するだけの抗ウイルス薬が発売されました。その後、1型、2型それぞれに対して数種類の抗ウイルス薬が発売されましたが、2017年には、C型肝炎の遺伝子型に関係なく、慢性肝炎であれば8週、代償性肝硬変であれば12週の投与で治療できる抗ウイルス薬が発売されました。
また、今年2月には、非代償性肝硬変(肝臓の働きが失われた肝硬変)に使用できる薬も発売されました。現在、C型肝炎は内服薬で治療できる時代になっており、インターフェロンのつらい副作用を心配せずに治療を受けることができます。
また抗ウイルス薬は大変高価ですが、肝炎治療医療費助成制度や高額療養費制度を利用することでき、費用を心配せずに治療を受けることができます。
C型肝炎の患者さんは、ぜひとも治療を受けられることをお勧めします。

2019.2.7
テーマ:胆石症、胆嚢炎に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術
沖元 達也医師(外科医長)

消化器外科手術の中で比較的多いものとして胆嚢炎に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術があげられます。
胆汁は肝臓で作られ、胆管という管を通って十二指腸へ流れ、脂肪の吸収を助ける役割があります。胆嚢はこの胆管の途中にある嚢状の器官で、胆汁を一時的に貯留する働きがあります。胆汁中にはコレステロール、レシチン、胆汁酸、ビリルビンなどが溶けていますが、このバランスが崩れるとこれらの成分が溶けなくなって塊となり、胆石の素になります。胆石があるだけでは症状は起こりませんが、胆石が胆汁の流れる経路に引っかかり経路を閉塞したり、石があることでこれを足場にして細菌が繁殖すると胆嚢炎を起こし、右上腹部の激しい痛みが起こってきます。
胆石症は5Fと呼ばれるグループで起こりやすいといわれています。40歳代(Forty)、女性(Female)、 肥満(Fatty)、白色人種(Fair)、多産婦(Fecurd)の5つのFです。これらに相当する方は要注意です。無症状の場合胆石を持っていても経過観察でよいのですが、有症状となると一旦症状が収まっても繰り返すことが多いため治療の対象になります。
胆嚢炎の治療は現在ほぼ腹腔鏡による胆嚢摘出術が行われていますが、腹腔鏡で安全に摘出が行えないほど炎症が激しい場合は開腹での摘出になることがあります。
当院では径5mmの腹腔鏡を用いてできるだけ小さな創で手術を行っています。術後5日~7日で退院可能です。胆嚢を摘出した場合術後一時的におなかが緩くなることがありますが次第に体が順応し日常生活に支障が出ることはほとんどありません。

2019.1.15
テーマ:「アミラーゼ」別名「ジアスターゼ」
國田 哲子医師(副院長)

済生会呉病院には「消化器」を専門とする医師が9名在籍していて、互いに協力し合いながら医療レベルの向上に務めています。そんな消化器医からのメッセージをお送りしたいと思います。

まず第1回は、すい臓から腸内に分泌される消化酵素の一つ、「アミラーゼ」についてです。アミラーゼは糖質を分解する酵素で、もしかしたら別名の「ジアスターゼ」と言うとおわかりの方がおられるかも知れません。
今はだいこんのおいしい季節ですが、皆さんはおもちをだいこんすりと一緒に食べると胃もたれしなかったという経験はありませんか?それはだいこんにジアスターゼ(=アミラーゼ)がたくさん含まれていて、糖質の代表格であるおもちの消化を助けるからなのです。
食事をするとだ液腺やすい臓から消化管にアミラーゼ(=ジアスターゼ)が分泌されて食べたものの消化と吸収を助けます。アミラーゼはいつも血液の中にも浸みだしているので血液中のアミラーゼを測定することができます。血中アミラーゼ値が異常に高くなったら、だ液腺が腫れているとかがなければ、急性すい炎、慢性すい炎、すい癌などのすい臓の病気を疑います。
ただ血中に出たアミラーゼはあっという間にじん臓から排泄されてなくなってしまうので注意が必要です。
慢性すい炎のようにずっと持続して血中に浸みだしていると血中アミラーゼの上昇を捉えることはできますが、急性すい炎で腹痛があっても発症後数日経って測定したらアミラーゼが既に正常化していることがあります。また慢性すい炎も進行してアミラーゼを分泌する能力が無くなるとむしろ低下しますし、さらにすい癌ではアミラーゼは20%程度の人しか上昇しません。
何だかややこしくなってきましたね、なので私達は、すい臓の病気を診断する際には複数の消化酵素や腫瘍マーカー、画像検査を組み合わせて総合的に判断しています。

2018.8.31
テーマ:鼻から行う内視鏡:経鼻内視鏡のご案内
田中 美和子医師(内科医長)

内視鏡とは俗に「胃カメラ」と呼ばれるもので、食道から胃、十二指腸まで直接観察しながら診断を行います。

内視鏡挿入時に舌や喉を通るため、多くの方は「オエッ」という咽頭反射を起こし、内視鏡は「つらい」「苦しい」と感じている方が多いのではないでしょうか。
当院では苦痛の少ない内視鏡を目指して経鼻内視鏡を導入しています。



○経鼻内視鏡について 
経鼻内視鏡は鼻から挿入する細いカメラで、口から挿入する通常の内視鏡検査より苦痛が少ないと言われています。

○経鼻内視鏡のメリット

・内視鏡の先端部は約5mmという細さで、検査中の苦痛が少ないです。
・舌の付け根を通らないため吐き気がおこりにくいです。
・検査中も会話が可能です。

○経鼻内視鏡のデメリット

・内視鏡が細く、通常内視鏡に比べて画像の解像度が低いため、胃炎の強い方や精密検査には不向きです。
・鼻腔が狭い場合は挿入できないことがあります。
・検査後に鼻出血をおこすことがあります。

詳しくは当院スタッフまでお気軽にご相談ください。


2017.5.2
テーマ:骨粗鬆症
水野 尚之医師(整形外科医長)

 骨粗鬆症患者は全国で約1,300万人と報告されています。1,300万人のうち治療されている方は約15%とも言われています。骨粗鬆症は基本的に症状を伴わず、軽微な外傷による骨折によって初めて気づかれることの多い疾患です。特に骨粗鬆症による背骨の圧迫骨折の約1/3は無症状若しくは軽度の痛みを伴うのみで、折れたことを気づかない骨折として有名です。骨粗鬆症による背骨の圧迫骨折や大腿骨近位部骨折はいまだ増加し続け、寝たきりの原因としても有名です。

  我々の病院では多岐にわたる骨粗鬆症治療薬を常備しております。また、骨密度検査も当日実施でき、結果もお渡しすることで迅速な治療に結びつけています。

  今後骨粗鬆症外来の開設準備中であり、骨粗鬆症学会認定の骨粗鬆症マネージャーとして2名の看護師、1名の理学療法士、1名の栄養士が常勤しております。さらに今年度中には2名の看護師及び1名の薬剤師がマネージャーに認定される予定です。我々整形外科の医師だけではなく、理学療法士、栄養士、看護師、薬剤師とともに骨粗鬆症チームとして治療をおこなっていきます。

  ご自分が骨粗鬆症かどうか心配な50歳以上の女性若しくは60歳以上の男性(他の疾患による二次性骨粗鬆症例やステロイドによるものはこれに限りません)、また骨粗鬆症治療を受けていたが何らかの理由により中断されたままの方は是非外来を受診されることをお勧めします。

2016.6.17
テーマ:鼠径ヘルニアについて
沖元達也 医師(外科医長)

  今回は鼠径ヘルニアについてお話ししたいと思います。鼡径というのは足の付け根ぐらいの意味で、ヘルニアというのは体の正常な構造物が通常とは異なる位置に脱出する事です。鼡径部のヘルニアで脱出してくるのは主に腸管であるため俗称を脱腸とも言います。
  症状は違和感、痛み、便秘などがありますが脱出腸管が脱出部の出口で締め付けられると腸管の血流が悪くなり、最悪の場合腸管壊死、腹膜炎をおこしてしまう事があります。このため鼠径ヘルニアを認めた場合基本的は手術による治療が必要になります。これまで鼡径部を前面から切開しヘルニアに栓をするプラグメッシュ、ヘルニアの前面に当て布をするクーゲル法などが行われてきました。最近では腹腔鏡を使用し、お腹の中から当て布をする腹腔鏡手術が盛んに行われるようになり当科でもこの方法を第一選択としています。創が小さく、疼痛が少ない、さらに術後鼡径部の腫れが少ないと言う特徴があります。なかなか人に診せるのは躊躇される部位ですが上で述べたような危険性があるため積極的に治療を考えて下さい。

2015.11.11
テーマ:逆流性食道炎
津賀 勝利医師(内科医長)
 

 逆流性食道炎とは、消化液が食道内に逆流することにより、食道に炎症を生じる病態です。胃の内容物が食道に逆流して起こる病気を総称して胃食道逆流症(GERD;gastro-esophageal reflux disease)と呼びます。そのうち内視鏡検査で食道炎の所見が認められるものが逆流性食道炎であり、胸焼け症状があるにもかかわらず、内視鏡検査で食道炎の所見が確認できないものを非びらん性胃食道逆流症(NERD;non-erosive reflux disease)と呼びます。食生活をはじめとする生活習慣の欧米化やピロリ菌の減少とともに増加してきています。高齢者に多い疾患ですが、最近は若い患者さんも増加していて、今後も増加していくことが予想されています。

  不適切な食事習慣、飲酒、喫煙、暴飲暴食、高脂肪食、胃運動異常、胃排出遅延、薬剤による下部食道括約筋圧の低下、妊娠、肥満、便秘、腹圧を高める衣服の着用、腰曲り、食後すぐに横になること、前かがみ姿勢、食道裂孔ヘルニア、食道蠕動運動機能低下、ピロリ菌がいなくて胃酸が多い胃内環境、食道知覚過敏、ストレスなどが原因と考えられています。代表的な症状は胸焼け、呑酸(口のなかへ酸っぱいものが上がってくる感じ)ですが、時に胸痛、咳、のどの違和感、かすれ声などを自覚する方もおられます。また、無症状のこともあります。

  診断のための最も重要な検査は上部消化管内視鏡検査であり、逆流性食道炎の重症度の把握だけでなく、食道癌など他疾患を除外する目的で行います。諸事情により内視鏡検査が行えない場合は、プロトンポンプ阻害剤(PPI)の有効性で判断するPPIテスト等も診断に有用です。治療の主体は日常生活の改善や薬物療法(プロトンポンプ阻害剤(PPI)、H2受容体拮抗剤(H2RA)、消化管運動賦活剤、漢方薬など)であり、最近では従来のPPIよりも更に強力に胃酸分泌を抑制するプロトンポンプ阻害剤(カリウムイオン競合型アシッドブロッカー)が発売されており、難治性逆流性食道炎の治療成績向上が期待されています。

  難治例や大きな食道裂孔ヘルニアがある例では、(日本では決して多くはありませんが)外科的手術(腹腔鏡下Nissen手術など)を要することがあります。最近では一部の施設でPPI抵抗性GERDに対する新しい内視鏡治療として内視鏡的噴門粘膜切除術(ARMS;anti-reflux mucosectomy)が試みられています。予後良好の疾患ですが、再発する例は決して稀でなく、時に難治例も存在します。よって長期間にわたって薬物療法が必要な例も多く認められます。

  上記症状に心当たりのある方はもちろんの事、症状のない方も一度上部消化管内視鏡検査を受けることをお勧めします。

2014.11.19
テーマ:脂質異常症
木戸 幸司医師(内科医長)

 わが国においては生活の欧米化に伴い、虚血性心疾患や脳梗塞を代表とする動脈硬化症の発症年齢が低下するとともに発症頻度も増加している。現在、わが国の死亡率の25%以上が動脈硬化性疾患と考えられている。動脈硬化の進展には、脂質異常症、糖尿病、高血圧、喫煙が重要な役割を果たしている。脂質異常症の診断は血清脂質の測定に始まる。一般的に測定されている血清脂質検査はHDLコレステロール(HDL-C)、LDLコレステロール(LDL―C)、中性脂肪(TG)である。HDL-Cは動脈硬化性疾患と逆相関しており抗動脈硬化作用を持っていると考えられている。一方LDL-Cは血管壁に蓄積して動脈硬化を進展させる。TGが高値の場合HDL-Cの低値が多く、このため動脈硬化が進展するだけでなくTG高値そのものも動脈硬化を進展させる。


 脂質異常症の食事療法としては①総摂取エネルギーを標準体重×25Kcal ②栄養配分を適正化し、炭水化物を60%、たんぱく質を20%脂肪を20% ③コレステロール摂取量を300mg以下(卵黄一個250mg)④アルコール摂取を25g以下とする などがあげられる。このほか適度な有酸素運動や禁煙等も大切である。これらの生活改善が治療の基本であるが一定期間行って十分な効果が得られないときは薬物療法が必要である。高LDL血症の治療によって心血管病変が低減することは実証されている。脂質異常症は自覚症状がないので人間ドック等で時には自分の脂質の状態をチェックしてみては如何でしょうか。

2014.7.7
テーマ:一般的な眼疾患について
芳谷 重記医師(眼科医長)

  眼にも様々な疾患があります。自覚症状の乏しく徐々に進行し、気づいた時は手遅れになっているような緑内障などは40歳以上で20人に1人の有病率です。近年は加齢黄斑変性症も増加傾向ですが治療可能な新薬も出現しております。また眼の病気がもとで全身的な疾患が発見される事も多く、50歳以上の方は年に一回程度は眼科で検診を受けられる事をお勧め致します。お気軽に御相談下さい。

2014.2.6
テーマ:NASH(非アルコール性脂肪肝炎)
伊藤 博之医師(医療部次長)

  肝細胞に中性脂肪が過剰に沈着した状態を脂肪肝といいます。以前はアルコールが原因でない脂肪肝は肝炎や肝硬変にはならないと考えられ重視されていませんでした。しかし、現在ではアルコールが原因でない脂肪肝も肝障害を生じることがわかり、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と呼ばれています。また、NAFLDは、予後が良好な単純性脂肪肝と肝炎から肝硬変、肝がんに進行する非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に分かれます。NASHはメタボリックシンドロームと深く関わっており、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧の合併を認めます。
  NASHの治療については、直接的な治療はなく、合併した生活習慣病の治療により行います。特に効果的なものは生活習慣の改善による体重の減少です。
  当院でも積極的に栄養指導を行い、また個人個人に合わせた栄養指導を行うことで生活習慣の改善を支援しております。

 
2013.11.28
テーマ:急性膵炎
國田 哲子医師(副院長)

  急性膵炎は、自分で気付かないうちにかかって、気づかないうちに治ってしまうような軽い病状のものから命に関わるようなものまで色々な程度のものがあります。
  先日、済生会本部のホームページに急性膵炎についての情報を載せましたのでご覧になって下さい。

 

2013.11.28
テーマ:高血圧
松浦 秀夫医師(院長)

  高血圧の患者さんは自覚症状がありませんが、そのまま放置していると動脈硬化を生じて脳、心臓、腎臓、血管、眼底などに重大な障害をおこし、死亡したり、日常生活に大きな問題を残すことになります。
  高血圧を予防すること、高血圧であればしっかりと治療をすることが大切です。
  済生会本部のホームページに「高血圧」について掲載しましたので、ぜひ読んで頂けたらと思います。

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